「…それでは、これで集会を終わります。皆、夏休みを楽しんでくれ。」

学園長の閉会の挨拶で生徒達は教室に戻った。勇翔が学園に戻って来てから一週間、学園長達が帰って来たことで学園は夏休みを迎えた。教室に着くと憲蔵がプリントを回した。
「まぁ、この学園の夏休みは宿題は無いし出せないからな。好きなように過ごすといい。事故だけはするなよ。以上、解散!」

憲蔵は教室から出て行った。残った生徒達は友達と話し始めた。

「夏休みか…」

勇翔が惚けていると京介がやって来た。

「よぉ、勇翔。お前、夏休みはどうするんだ?」

「僕は…家に帰るつもりですけど…」

「じゃあ、暇なのか?」
「まぁ、暇ですね。」

「よし、ならウチに来い。」

「…え?」

「蓮と晶は来ることになってるからな。お前も来い。」

「え、でも…」

「何か予定があるのか?」

「…無いです。」

「よし、決まりだな。明日の朝九時に校門前に集合だからな。」

京介は言うだけ言って帰ってしまった。

「…帰ろうかな…」

勇翔は寮に帰った。自分の部屋の荷物を纏めて家に帰った。

「ただいま。」

勇翔が家に入ると奥から悠里が出て来た。

「お帰りなさい。今お夕飯作ってるから、座ってて。」

「うん。」

勇翔は居間に向かった。居間のドアを開けると、座布団の上に見慣れない猫がいた。

「…ん?」

勇翔が見つめていると猫が目を覚ました。

「ん、やっと帰って来たの?」

猫が喋った。

「…!?」

「…何よ?」

「ね、猫が喋って…!?何で…!?」

「パラケルススから聞いたでしょ?」

「…!あ、あぁパラケルスス様の使い魔の…確か、ケルン、だったっけ。」

「ようやく思い出した?あなた勝手に帰っちゃうんだもの。」