三人は寮に着くとまず部屋を決めた。その日はもう三人とも部屋で休むことにした。勇翔はその夜夢を見た。辺りは勇翔を除いて火の海になっている。
「これは…!?」
勇翔は目線を走らせた。すると人影が目に入った。人影はゆっくりと勇翔の方を振り向いた。その顔を見て勇翔は愕然とした。
「…僕…?」
人影は火の海の中に姿を消した。


「…ッ!?」
勇翔はベッドから飛び起きた。全身に汗をかいていた。窓の外は完全に日が沈んでいた。「…ちょっと、涼もうかな…」
勇翔は制服に着替えて外に出た。外は涼しい風が吹いていた。勇翔は寮から離れた森の中に入った。森の中はうっすらと月明りに照らされていた。
「ここも学園の敷地なんだ…広いなぁ。」
勇翔は風が良く吹いている場所に出た。
「…ふぅ…」
そこに誰かが近付いてきた。
「!?誰!?」
勇翔は気配のする方に目を向けた。木陰から出て来たのは学園長だった。
「が、学園長…!?」
「やぁ、珍しいね。こんな所にお客人とは…だが、私は学園長ではないよ。」
「…え?」
「彼は、私の聖霊だよ。坂原勇翔君。」
今度は後ろから声がした。振り返るとそこには学園長がいた。
「が、学園長!?え、でも…え?」
「彼は私の聖霊だよ。」「聖霊ですか?そっくりですね…」
「まぁ、彼は特別だからね。」
「…?」
「それより、君はどうしてこんな所に?しかも、こんな時間に…」
「あ、その…変な夢を見てしまいまして…」
「変な夢…?」
勇翔はさっき見た夢のことを話した。
「…火の海に自分と同じ顔の人影、か…随分珍しい夢だね…心当たりは無いのかい?」
「はい…。」
すると聖霊の方が話し始めた。
「夢とは、その人の深層心理を表すものです。事象には理由があり、結果があります。貴方がその様な夢を見たのも、きっと理由があるのでしょう。」
「そうでしょうか…」
「えぇ。」
「…そうですね。ありがとうございます。何だか、楽になりました。」
「いえ。」
「それじゃぁ、お休みなさい。」
勇翔は二人に別れを告げて寮に戻った。