「…良く動く口だな。」
「貴様の様に何も語らずに死ぬ気は無いのでな…」

二人は再び睨み合った。次の瞬間、建物中に警報が鳴り響いた。

「緊急召集!元帥各位は速やかに中央会議室に集合されたし!繰り返す…」

「…どうやら勝負は持ち越しの様だな…」

「……」

憲蔵は無言で振り返らずに広間から出て行った。ガリスは剣を鞘に納めた。

「…やれやれ…嫌われたものですねェ…」

ガリスはそれだけ呟いて広間から出て行った。





「…全員集まった様だね。君達を緊急召集したのは、他でもない…敵が、『アトランティス』を起動させてしまったという報告が入った。」

「『アトランティス』が…!?」

一番同様したのは、ユリスだった。

「まだこれは一部の人間しか知らない。だけどあれが世に放たれれば、間違い無く災いを振り撒くだろう…下手をすれば、『始まりの樹』にも影響があるかも知れない…最悪、それだけは何としても阻止しなければならない…」

「…どうなさるのですか?」

聞いたのは憲蔵だった。

「…『メシアの剣』を発動させる。」

その言葉に元帥の間に動揺の声が走った。

「し、しかしあれは…!?」

「そう…超広域殲滅型魔法兵器『メシアの剣』…一度振るわれれば、大地を薙ぎ、海を割り、天を焦がす…恐らく周辺の生態系は全滅するだろう。」

「…そこまで分かっていて何故…!?」

「だから『メビウスリング』を開発させていたのさ。」

「『メビウスリング』…?」

「そう…環状に円を描くことで内部で発生した魔法的事象を全て内側に反射する超広域捕縛兵器…」

「まさか、アトランティスにメビウスリングを…!?」