｢…それがただ自分に向いているのなら、私は耐えよう。だけど、自分が死ぬことで一体誰が泣く事になるのか…君はそれを考えたことがあるかい…？｣

｢…それは…｣

｢…誰かが死ねば、必ず誰かが泣く事になる…例えそれが自分に銃を向ける人間であっても…私達の様な人間は、決してそれを忘れてはならない。手を血で濡らすのは、兵士だけでいいのさ。｣

｢…確かに、それが兵士の役割でしょう…民間人を守り、国を守る盾になる…でも、結局は人殺しですよ…｣

｢そうだね…だからこそ私達の様な人間がそれを忘れてはならない…それが、兵士として生きる者の務めさ…｣
｢兵士として生きる…｣
｢だけど君はこっちに来てはいけない。だから憲蔵さんは君を自分の目の届く場所に置きたいんだよ。他の元帥の元では、いつ人殺しになってしまうか分からないからね。｣

｢…憲蔵さん…｣

勇翔はモニターを眺めた。モニターの中では、憲蔵とガリスが向き合っていた。





｢…くく…やはり貴様相手に聖霊を出さない訳にはいかんな。｣

ガリスは剣を足元に突き刺した。すると魔方陣がガリスを中心にして出現した。

｢…来るか…!｣

｢…来い、ティアマット！｣

すると魔方陣から稲妻が噴き出した。ガリスの上の空間が歪み、巨大な白亜の竜が姿を現した。白亜の竜の存在は空間を震わせ、その咆哮は大気を震わせる。

｢ティアマット…原初の世界の海を支配した母なる竜…そうか。それがお前の聖霊だったな…数少ない、召喚タイプのプレイヤー…｣
｢行け！ティアマット！｣

ガリスの命令でティアマットが憲蔵に突撃した。

｢ちっ…！召紋破棄!来れ、ゼウス!｣

憲蔵はゼウスを降霊させた。ティアマットが憲蔵に突撃した。しかし憲蔵はそれを受け止めた。

｢…ほぅ…『封印紋』をされていて良くそれだけの力が出せるものだな…流石は雷帝…といったところか？｣