まだ笑っているガリスを憲蔵は睨んだ。

「…その冷たい視線…かつての自分を取り戻しましたかねェ…」

「…黙れ…こうなるなら、あいつは連れて来ない方が良かったかも知れんな…」

「…それで、私に何のご用なんですか?」

「…異界とのコンタクトを取りたい。そのための設備を作製してくれ。」

「…異界…ですかァ…」
「…なんだ。」

「いえ…?異界…そうですかァ…あそこなら貴方の方がお詳しいでしょう…?」

「…おれでは、異界には行けん。影響が大き過ぎる…」

「…まぁ、オリンポス十二神を束ねる神の父ですからねェ…行けばまずあらゆる勢力に感知されるでしょうねェ…」

「…あぁ。だが、お前なら、力を押さえる装備が作れるだろう。頼む…」

憲蔵は頭を下げた。

「…アリアス!」

ガリスは誰かを呼んだ。

「はい。」

すると奥からメイド服の黒いショートヘアの女性が姿を現した。

「…お前の使い魔か…」
「えぇ。良く働いてくれますよ…これをご覧下さい。」

ガリスはそう言いながら何かを憲蔵に渡した。

「…これは…」

それは何かの図面だった。

「対犯罪者用の捕縛兵器です。強力なプレイヤーのためのねェ…本来は犯罪者用なのですが、仕方ない…貴方用に改造しますよ。」

「…あぁ、頼む…さて…俺の用は済んだ。行くぞ。」

「…?どこへ…」

すると憲蔵がガリスの胸倉を掴んだ。アリアスもとっさのことに反応が遅れた。

「…あれだけ人の部下を侮辱しておいて、ただで済むと思うのか…?」

「…くく…私にどうしろと言うんですかねェ…?」

「…決闘だ…部下の名誉のために…ガリス・ベイガー!貴様に決闘を申し込む!!」

「…くく…いいでしょう。アリアス、私の杖を…」

アリアスは奥に歩いて行った。二人はその場でただ無言で睨み合っていた。