「…そんな…あれは…!?」

ボルトは驚愕の声を上げた。

「…聖剣、エクスカリバー…なぜあれを仮面の男が…」

そうこうしている間に仮面の男がアルカディアに切り掛かった。それを右側に受け流しその勢いでアルカディアは右下から切り上げた。仮面の男は背中を反らせてかわして、剣を下から切り上げた。剣はアルカディアの頬をかすめたが当たりはしなかった。二人はそこで距離を空けた。

「…素晴らしい…ここまで心躍る戦いは初めてだ…」

「…とても人間とは思えない太刀筋だな…まさか、聖霊を降霊させているのか…?」

その時仮面の男に上空から矢が降り注いだ。仮面の男は後ろに飛び退いてかわした。顔を上げると周りの木々に数人の人影がいて仮面の男を睨んでいた。

「…邪魔が入ったようだな…勝負は次の機会にしておこう…」

仮面の男は剣を納めてどこかに翔び去っていった。

「…行ったか…ご苦労だったな。」

アルカディアのその一言で木々の人影がアルカディアの近くに降り立った。

「アルカディア様…ご無事で何よりでございました。」

そう言ったのはさっきパラケルススの小屋にいたシルフィードだった。

「お前も、良く私が呼んだのが分かったな。かなり小さい反応だったはずだが。」

「宝剣が抜かれる気配がしたので…もしやと思い参りました。」

「そうか…」

「…本日は、何用でこちらに?」

「パラケルスス殿に用があって来た。」

「左様で。ではご案内致しましょう。」

「あぁ。頼む。」

アルカディアは握っていた剣を光に戻してシルフィードの後について行った。

「…あれが、地水火風の精霊を統括する光の精霊王アルカディア様だ。世界の調和と平和を司り神々の意思の代弁者たるお方だ…」

ボルトはそれだけ言ってアルカディア達の後を追った。勇翔もボルトの後について行った。