「…なんだ、テメェは…?」

「さすがに不意打ちで倒せるほど甘くは無いか…」

ボルトは男の言葉を最後まで聞かずに吹き飛ばした。しかし男は難なく着地した。

「チッ…!?」

その時不意に背後から異様な気配を二人は感じた。それと同時に男は金縛りにあったかのように硬直した。その能力を、ボルトは知っていた。

「こな能力は…!?」

それを口にするより早く、二人の背後から声が聞こえた。

「まさか、結光天域が破られるとはな…間に合ったから良かったものの…」

その声に振り返るとそこには金の短髪と深い藍色の瞳の長身の男性とも女性とも見える麗人がいた。ボルトはその姿を見るやいきなり地面に片膝を付いて頭を下げた。

「…光の精霊王、アルカディア様…」

「…え…!?」





「…なんだ…ここは…」
ボルトを襲った男はいきなり先程とは違う場所にいた。そこは見渡す限り草木一本無く、荒涼とした荒れ地に剣が何本も突き刺さっている。しかしその刃は死体を貫いて地面に突き刺さっている。腹、肩、頭、いたるところに剣が突き刺さっていた。

「…古戦場、か…?」

その時殺伐とした光景に突然異変が生じた。剣に突き刺さっていた死体が自分に刺さった剣をあろうことか自分で引き抜いて立ち上がったのだ。

「なっ…!?」

剣を手にした死体は明らかに男を見ていた。
「くっ…!?」

男は意識を集中させた。しかし…

「!?がっ…!?」

気付くと自分の腹を背中から剣が貫いていた。

「な…これは…!?」

見るとそれは死体が握った剣だった。

「くっ…この程度…!?ぐあっ…!?」

男が背後の死体を払おうとすると、今度は前から死体に刺された。その次は横から、次は反対側から…というように男はみるみる串刺しになっていった。