魔天戦史

菊翅が店を出るのと同時に勇翔と晶は腰が抜けて座り込んでしまった。
｢す、凄かったですね…｣
｢大丈夫か？｣
勇翔は差し出された京介の手をとって立ち上がった。晶も次に助け起こされた。
｢すいません…｣
｢済まなかったな。ちょっとした暇つぶしのはずだったんだがな。まさかこんな事になるとは…｣
｢別に、京介さんのせいじゃありませんよ。ちょっと、驚きましたけど…｣
｢晶は？｣
｢あ、はい。私も大丈夫です。でも、菊翅さんって…あの菊翅さんですか？｣
｢晶ちゃん、何か知ってるの？｣
｢うん。ちょっとね…京介さんは、お知り合いですか？｣
｢…あの人は…｣
その時突然京介の携帯が鳴った。京介は携帯を開いた。
｢どうしたんですか？｣｢あぁ。学園の開校準備が済んだみたいだ。今から入学式らしい。体育館に来る様にだとよ。｣
｢そうですか。じゃあ行きましょう。｣
勇翔は先に店を出た。｢…また今度話そう。｣｢…はい。｣
二人は一緒に店を出て勇翔に並んだ。三人は校門前まで来た。校門前には一人の男が立っている。男は三人に気付くと三人のところに来た。
｢御入学の方ですか？｣｢はい。｣
｢私、本校の教員の真藤と言います。御入学の方は体育館の方にどうぞ。｣
｢ありがとうございます。｣
三人は体育館に向かった。
｢…あれが、あの方の御子息、ですか…｣
男は一人体育館に向かった。
｢うわぁ…｣
｢大きい…｣
｢ここまでとはな…｣
三人は体育館を見上げて嘆息の声を漏らした。その体育館はビルの五階程は高さがある。奥行きは目測でも五百メートルはあるだろうか。辺りに目をやるといくらか生徒の固まりが集まり出している。｢席取られない内に早く行こうぜ。｣
｢あ、はい。｣
三人は体育館の中に入った。適当に真ん中辺りの席に座った。