「宜しく、坂原勇翔君。君のことは聞いているよ。」

オレインはソファから立ち上がって右手を差し出した。

「は、はい。ありがとうございます。」

勇翔は差し出された右手を握り返した。

三人は空いているソファに座った。

「しかし、報告を受けた時は驚いたよ。仮面の騎士を少年が一人で迎撃したと聞いたからね。」

「…でも、海自の人達が…」

「彼等には、私から話しておこう。無論、戦死した人達の追悼も行わなくてはならないがね。しかし、君のせいではないよ。」

「…ありがとうございます…」

「それで、大元帥。勇翔のスカウトの件ですが…」

「あぁ、そのことなんだが…勇翔君の所属は憲蔵のところで構わないかな?」

「私は構いませんが…」
勇翔は全員の視線に気付いて顔を上げた。

「…どうかな、勇翔君?」

「僕は、勿論構いませんけど…憲蔵さんはいいんですか?」

「あぁ。ウチは実力主義だからな。特に上下関係は無いから、あまり気にする事はない。他の隊員も、快く受け入れてくれるだろうさ。」

「…はい…」

勇翔はそう聞いて安心した。

…さすがにイジメる人はいない…かな…?

「それで、まずは彼を元帥会に出そうかと思うんだけど…」

それを聞いて憲蔵と崇史の顔色が変わった。
「本気ですかっ!?」

「大元帥、それはいくら何でも急過ぎるのでは…」

「幸い、今は元帥全員が本部にいてね。君達が戻って来たら、どの道元帥会を開こうと思っていたんだ。だから、丁度良いと思うんだけどね。」

「…仕方ありませんね。」

「憲蔵さん!?」

「仕方ないだろう。そこまで話が進んでいるのなら、他の元帥に会わせてみるのも良いだろう。」

「…ありがとう、憲蔵。さて、それじゃぁ行こうか。」

「…は?」

「元帥会だよ。後七分しか無いからね。少し急ごうか。」

「…はぁ…」

憲蔵はあまりにも自由な大元帥に溜め息を漏らしながら後に続いた。二人もそれに従って部屋を出た。大元帥の秘書はオレインをフロントまで送って行った。