「…ふぅ…」

「済まんな、勇翔。いきなりこんな事になってしまって…」

「あ、いえ…そんなに気にしてませんから…でも緊張しますね…」
「まぁ、今から世界を束ねる者達のところに行くんだからね。それも仕方ないさ。」

そう言ったのは崇史だった。そう、三人は昨日勇翔が大元帥から国連へのスカウトを受けて、国連本部のあるニューヨークに車で向かっている途中だった。日本からニューヨークへ崇史の特殊な霊力エンジンを積んだプライベート便で三時間。そこから憲蔵が呼んでおいた車に乗り替えたのだ。勇翔は制服、憲蔵と崇史は統合軍の元帥のみが着用出来るという白いロングコートを着ていた。どうもこれが大元帥に面会する絶対条件なのだそうだ。
「…着いたようだな。よし、二人とも降りろ。」

三人は車から降りた。目の前には三十階はあろうかというビルが建っていた。

「これが、国連本部だ。」

「へぇ…でも、何か新しいですね。」

「あぁ、それは六年前改装したばかりだからな。」

「そうなんですか。」

「まぁ、それより前から改装は何度もしてたからね。でも基本的な構造は変わって無いんだよ。」

「へぇ…」

三人がフロントを歩いていると前から男性が歩いて来た。

「師紀元帥!冨山元帥!」
男性は二人を呼び止めた。

「お久し振りです。お二人とも。」

「お前は…確か、アルバーヌの部下の…」

「はい!リオウル・アリアンヌと申します!」
「そうだったな。済まないが、大元帥は今どちらにいらっしゃるか分かるか?」

「大元帥様ですか…申し訳ありません。ちょっと…」

「そうか…済まなかったな。」

「いえ!お役に立てずに、申し訳ありません…」

リオウルと名乗った男性は二人に別れを告げて去って行った。勇翔はふと周囲に目を向けた。すると人々が三人を遠巻きに囲んでいた。その大半は女性だった。どうやら二人はカリスマ的存在のようだ。

「どうした、勇翔!行くぞ!」

「あ、はい!」

勇翔は二人についてフロントに向かった。