勇翔は目の前の敵に目を向けた。

「あれが敵…皆を傷付ける敵…この力が、守るための力なら…僕は、皆を守るために!!」
勇翔は右手を上に突き出した。すると回りから雷と光の粒子が右手の中に集まって、剣の形を作っていく。

「この術は…!?」

勇翔は剣を顔の前に構えた。

「天盤…雷王剣!!」

勇翔が叫ぶと空から数本の稲妻が束になって剣に落ちた。すると勇翔の周りに右手と同じ剣が勇翔を囲むように出現した。

「天盤、雷王剣…紫電属性の最強魔法の一つ!?」

勇翔は目の前の敵に切り掛かった。

「はぁっ!!」

勇翔は素人とは思えない剣捌きで切り付ける。しかし仮面の男は片手の剣一本で全てを受け流している。

「ふんっ!!」

男がいきなり剣を振るったことで勇翔の剣が折れてしまった。男はその隙に勇翔に切り掛かった。

「はぁっ!!」

しかし勇翔は周りの剣を円盤状に右手に集めて剣を防いだ。

「ほぅ…」

「天盤弐式・円天剣…剣を円盤状に配置して攻防一体の武器にする…」

「…目覚めてすぐに弐式まで使うとはな…今日はこれで退くとしよう…だが少年、忘れるな。お前は我らに牙を向いた。それは自ら獣の牙を研ぐ行為に他ならない…いずれお前にも、我らが同朋から裁きが降るだろう。」

男は剣を納めてその場から姿を消した。勇翔と憲蔵は完全に気配が消えたのを確認して地上に降りた。

「…契約したばかりであれ程戦えるとはな…まさかお前がそこまでの逸材だとは思わなかったな。」

「すいません。教室で待ってた方がいいとも思ったんですけど、やっぱり皆を守りたくて…」

「…いや、助かったよ。あのまま戦っていたら、俺が負けていたかも知れないしな。」

「…えっ!?」

「…あいつは、それほど強力なプレイヤーだ…」

「…そうだったんですか…」

「あぁ。だから助かったよ。ありがとう。」
「あ、はい…でも、我らって…」

「あぁ。あれは、反国連勢力の一つに所属しているんだろうな。」