影は海岸線に展開した戦艦を次々と沈めていく。

「…そんな…日本最強の海自の艦隊が、一瞬で…!?」

沈む艦隊が水しぶきをあげる中、影がしぶきを突破って飛んで来た。

「ちっ…!」

憲蔵は槍を握って真っ向から当たった。二人は空中で激突した。

「くっ…!?」

「ふ、やはりお前の判断は適切だったな。その後の対応も抜かり無い…」

「…お前、やはり…!?」

二人はそこで距離を開けた。

「…何故だ…何故お前は…!?」

「…世界に、革命が必要だと思ったからさ…だから俺はあいつについた…それだけのことだ。」

「…ッ、それだけだと…お前、自分が何人の罪無き人を殺したと思っている…!!」

「…今更そんな事をお前が言うとはな。お前も俺も、戦場で多くの命を奪い過ぎた…」

「…だから今更何人殺そうと変わらない、か…?」

「…そうだ。」

「ッ、貴様ァ!!」

憲蔵は一気に雷を纏った。そして右手には巨大な雷の剣を握っている。

「…本気の様だな…」

男は今まで持っていた剣を納めて、もう一本の剣を握った。

「…来い…」

「ウオォォォォ!!」

憲蔵は渾身の力を込めて剣を振り下ろした。剣はまっすぐに男を狙っていた。

「はあっ!!」

しかし男は剣一本でそれを受け止めた。

「はぁぁぁぁっ!!」

「ぐっ…!?」

男は憲蔵が放った雷の剣の弾き返した。

「甘いわ!!」

「!しまっ…!?」

その瞬間、男は憲蔵の懐に入っていた。男は剣を振り下ろした。

「くっ…!?」

しかしその剣は突然現われた雷の壁に阻まれて弾かれた。

「…これは…!?」

男は距離を開けた。憲蔵が目を開けると、そこには見慣れた青年がいた。

「…お前は…」

「…勇翔…!?」

勇翔の背中には雷で出来た翼が生えていた。
「…大丈夫ですか、憲蔵さん?」

「あ、あぁ…お前、契約したのか…?」

「はい。バロンと名乗ってましたよ。」

「バロン…バリ・ヒンドゥー教の善の側面を司る神…良くあの短期間で契約できたな…」
「心に入ったら、すぐに出てきましたから。それから名前を聞いて、契約したんです。」