魔天戦史



「……一時間弱、か……」



「応援を要請しようにも、ここでは陸路は使えないからな…向こうの増援が、クローム・アルバーヌやユリス・ケイラーなら、セル・ドラグーンで幾らかは持ちこたえられるが……」



「……いや、一人いるぞ…この状況でも呼べる応援がな…」


「なに?」


「ヘンリー、連絡を取ってくれ…」
















「……く…ッ!!」


アイザックは、所々に傷を負っている。目の前には神霊装を纏ったレオンがいる。その後ろには、シルヴィアが片膝をついている。


「……神霊装を纏っても、互角か……」


レオンは仮面の下で驚愕していた。



…噂には聞いていたが……噂以上だ…


事実、レオンは鎧の所々にヒビが入っている。神霊装を纏っているせいで霊力にも限界が近づいている。



「……大技は、使えてあと一回か……慎重に行かなくては…」


レオンは手綱を握り締めてブルー・ホースを駆って突撃した。


「くッ…!!」


アイザックも剣を構えてレオンに斬り込んだ。











仙石と憲蔵はひとまず距離を取って様子を見ていた。


「やれやれ…こうも強いと、楽しくなってきちゃうねぇ……」


そう言う仙石の顔は、口の端がつり上がっていた。それを見た憲蔵が思わず苦言を漏らした。



「……変わらんな、仙石…狂人は健在か……」


「おっと……これは失礼…しかし、君も強いけど……まだ本気じゃないねぇ…」



「……!」


「……時間稼ぎのつもりかな…?」


「……ククク…いや、流石だな、仙石…あと30分程で、クローム率いる航空部隊が駆けつける手筈になっている」



「クローム君か……この状況では厄介だねぇ…」