黒炎の上げた爆炎が晴れると、勇翔の頬や衣服の所々が焼け焦げていた。致命傷は辛うじて回避していたが、勇翔はその体力を大幅に削られていた。
「はぁ…はぁ……ッ!!」
「判断力も、反応も良い……だが…」
……それ故に、惜しいな…
緋凰は自信の考えを振り払い、再び剣を構えた。
「全ては正義の…いや、世界の為だ…君も、何かの為にそこに立っているのだろう……容赦は…しない……ッ!!」
緋凰は剣を振りかぶって距離を詰めた。勇翔も槍を構えて応戦した。
ヘンリーはブリッジで戦場をモニターしていた。
「…やれやれ、これでは迂闊に手が出せないな…」
本来ならば、戦場に到着したら、アイザック達を先鋒に、後続として無人兵器で制圧するつもりだったのだが、各々のレベルが高すぎて、投入する余裕が無くなってしまった。
「まぁ、君を助けられただけでも上出来かな?」
ヘンリーは手元の小さな画面に視線を移した。
「……すまんな、手間をかけさせて…」
モニターには、医療用カプセルに入った斗耶が映っていた。
「気にするな。手間は割と好きでね」
「……そうだったな」
「…しかし、このままではまずいな…」
「戦況はどうなっている?」
「気になるのか?」
「こちらには情報が来ないのでな…」
「…アイザックと仙石は問題ないだろう。良く相手を抑えている………だが、勇翔君がな…」
「……緋凰様か…」
「……押されているよ…仮に緋凰様を下したとしても、増援の方にまでは手が回らないだろう……」
「増援の人員は分かるか?」
「いや……到着まで、後一時間弱だとは予想されるが……」

