魔天戦史




レオンは無言で剣を構えた。その姿には、とてつもない威圧感が漂っていた。



「……本気、の様だね…やれやれ、使う気は無かったんだが……」



アイザックは溜め息混じりにそう言うと、両手を前に向けて突き出した。



「…来い、シン…デス……!!」



アイザックがそう唱えると、両掌に霊力が光となって凝縮していく。光はやがて剣の形になった。


アイザックは剣を振るって光を振り払い、剣が姿を現した。


「……シンとデス……ルシファーにのみ許された、死と罪…人間の原罪を象徴する双剣……」



「流石シルヴィア隊長、良くご存じだ」



アイザックは双剣を構えてレオンと対峙した。



「私も、大義の下に戦っている…負ける訳にはいかないんだ……!!」



二人はほぼ同時に地面を蹴った。
























「……なかなか、やるじゃないか…勇翔君…」



勇翔と緋凰は互いに武器を構えたまま距離を保っていた。



………分かってはいたけど…強い……ッ!


勇翔は改めて、緋凰との力量の差を見せつけられた。慣れない武器とはいえ、勇翔の力は並のプレイヤーを遥かに超えている…だが、その勇翔でさえも、緋凰には傷一つ付けられずにいた。自分の身を守ることに精一杯で、たまに繰り出す一撃も、全て捌かれ、かわされる……



……これが、霊帝か……



「考え事をしているとは、余裕だな…?」



「ッ!?」


聞こえた声に反射的に勇翔は自分の周囲に水の結界を張った。



その直後に、勇翔を黒炎が襲った。



「……この程度で討てる程甘くは無いか……」