勇翔達は、テムジンに連れられて洞窟にやって来た。中には、先程の老婆とフードを被った女性が待っていた。


テムジンは老婆の側に立ち、三人は老婆の向かい側に腰を下ろした。



「……少年よ、名は何と申す?」



「……坂原勇翔です…」


「…勇翔、か……お主は、光翔剣を求めておるのだろう?」



「!………はい…それがあれば、また僕は戦える…晶ちゃんを、助けることが出来る……お願いします!僕に…光翔剣を貸して下さい!!」



勇翔はそう言って、土下座をした。老婆はその姿をじっと見つめていたが、やがてゆっくりと立ち上がって、どこかへと歩き出した。


「え…あ、あの……」



勇翔が呼び止めると、老婆は立ち止まって、振り返らずに答えた。



「……付いて来なさい…」



「!……は、はい…ッ!」



勇翔は老婆の後に続いて洞窟の奥に歩いて行った。




暫く歩いて、行き止まりになっていたが、老婆が杖を掲げると、岩壁が横にずれて道が空いた。その奥に行くと、周囲の岩壁から夜空に輝く星の様な光が漏れている空間に出た。その中心には、灰色の台座と、それに突き刺さる剣が安置してある。その剣からは、鋭く、しかし暖かい霊気が感じられた。



「……あれが、光翔剣じゃ…」



「!あれが……!」



「…光翔剣は、かつて十賢と呼ばれる者達が打った剣じゃ。その頑強さは月の衝突にも耐え、その鋭さは次元すらも切り裂くと言われる銘刀じゃ……」



「…十賢……アレイスター・クロウリーや、パラケルスス様のことですよね?」