「………今日は、これで失礼しよう…行くぞ、須山大佐」
「は、はっ……!」
二人は静かに部屋から出て、緋凰が後ろ手にドアを閉めた。
「……よろしいのですか?」
「……あぁ…客人も来ている様だしな……」
「客人……?」
「……いるのは分かってるぞ、カリア?」
「……相変わらず、つまらない反応だなぁ、緋凰さん……」
そう言いながら姿を現したのは、ファーの着いたコートを着た、黒髪に黒い瞳の若い男だった。
「……お前は…!?」
驚く須山を横目に、カリアはその反応を楽しんでいる。
「……ホラね?こういう反応をして欲しかったなぁ……」
「カリア・ブライスシュテルン……!?なぜ、お前がここに!?」
「……まぁ、彼は驚き過ぎかもしれないけどねぇ……」
「……お前も相変わらずだな。部隊はどうした?まだお前の部隊は作戦行動中のはずだが?」
「やだなぁ、緋凰さん。僕があんな作戦に従うはずが無いじゃないか。他の皆に任せて来たよ」
「……お前がいれば、すぐに済んだだろうに……ジャッジメント第三部隊にしては、遅過ぎると思ったら………そういうことか…」
「……良く分かってらっしゃる……さ、僕は縣犂さんに会いに行こうかなっと……」
カリアはドアを開けて中に入って行った。
「……カリアは、そこまで強いのですか…?」
「……お前は、カリアの聖霊を知らないのか…?」
「え………えぇ…」
「……サマエルだよ」
「……ッ!?」
須山は、その名に戦慄した。その名は、軍人である須山にとっては、因縁深い名だったからだ。

