「……そんな…そんな時に、僕は………ッ!」


「……今は、焦っても仕方ない。とにかく、傷を癒すことに専念しなさい。あと、君が使っていた……確か、凍牙王、だったか?」



「……凍牙王が…どうかしたんですか……?」



「魔神化の際に、ボロボロになっていたからな。ある方に頼んで、強化して貰っている」



「……え…強化……ですか?」



「あぁ。蒼天と融合させると言っていたが……まぁ、君の体が癒える頃には、完成するのでは無いか?」



「……それまで…まだ、何も出来ないんですね………」



「………君は、根を詰め過ぎる……少しは、休みなさい」



ハイドはそう言い残して、医務室から出て行った。勇翔は、再び眠りについた。













「………申し訳ありません…もうご隠居の身なのに………」



「なに、構わんさ。剣帝の息子の為ならな」


そんな会話をしているのは、須山と、学園にいる鍛冶師のおやっさんだ。おやっさんは、須山から預けられた凍牙王を見ている。その足元には、蒼天も置いてある。すると、凍牙王のボロボロの刀身を見ながら、おやっさんは溜め息を漏らした。



「……しかしまぁ、随分ボロボロにしたもんだなぁ…何をどうすりゃ、永久凍土の刀身をこんなにできるんだ………?」



「彼は、陽炎の魔神へと成ったそうですから、その時だと思いますが……」



「ほー……魔神化ねぇ……流石は、剣帝の息子だな……末恐ろしいことだ…」



そう言いながらも、おやっさんは顔が笑っていた。