「………はぁ……」


勇翔は医務室のベッドから動けず、ただ無為に天井を見つめて溜め息を漏らしていた。そこへ、ハイドが入ってきた。体を起こそうとする勇翔を手で制して、椅子を出して勇翔のベッドの側に座った。


「……アイリス元帥は、富士の樹海へと向かったよ……護衛を一人連れてな」


「………そうですか…」


「………悔しいかね?」




「………はい……こんな時に、何も出来ないなんて……ッ!」



勇翔は拳を握り締めた。震える右手を見ながら、ハイドは懐から数枚のプリントを出して、勇翔に見せた。




それを見た勇翔は、思わず息を呑んだ。





「……な、んですか……これは……ッ!?」






そのプリントには、負傷した兵士達と、破壊された軍の施設の写真が乗っていた。


「……君が寝ている間に…世界各地の国連統合軍の施設が、ほぼ同時にテロにあった………その数は、約30ヶ所だそうだ……」



「……なんで………こんな………ッ!?」



「そのテロの首謀者は……アイザック・シリウスだそうだ…」



「………な……?」



「テロの被害が報告されるのとほぼ同時刻に、統合軍の本部にDVDが届いたそうだ。そのDVDには、アイザックと仮面の男……そして、元統合軍元帥の仙石竜童や、アレイスター・クロウリーなど…錚錚たる面々が揃って写っていたそうだ……そんな連中に、組織だって襲撃を受けてしまったのだ……今は、各師団が、施設の再建と部隊の再編成に奔走している。今すぐに、という訳にはいかないだろうが、ジャッジメントも動いているそうだから、このまま後手に回ることも無いとは思うが………」