勇翔を医務室から戻って来たアイリスを交えて、再び話を始めた。
「……やはり、アイリス様お一人を行かせる訳には……」
「ですが、ご一緒頂ける方がいらっしゃらないのであれば、やむを得ないかと思います………やはり、私が………」
「……ならば、我々が同行いたそう」
突然聞こえた声に三人が振り向くと、ドアのところに男性が立っていた。男性は純白の軍服に、淡い紫色のマントを羽織っている。その腰には、一振りのサーベルが提げられている。
何より、その純白の軍服の襟元には、黄金の十字と聖書の紋章のバッヂが輝いている。それを見て、三人はすぐにその男性の素性を悟った。
「……救世軍………?」
「……救世軍、聖典部隊極東方面軍部隊長……ジョージ・レミントン大佐です。お会い出来て光栄だ、統合軍の方々……」
そう、その黄金の聖書の紋章は、世界で活躍する救世軍……その中でも、最精鋭とされる聖典部隊の紋章なのだ。更には、黄金の十字の紋章はその部隊長のみに許された紋章なのだ。
「聖典部隊の部隊長……なぜ、こんなところに……?」
「儂が連れて来たのだ。何かあった時の為に、聖典部隊の力は必要だろうと思ってな…まさか、こんなに早くなるとは思わなんだが………」
「……流石ですね…」
「……では、ジョージさん………ご一緒して頂けるんですか?」
「あまり深い事情は存じ上げぬが、お役に立つことが叶うならば、ご同行いたしましょう」
「……感謝します、ジョージさん」
アイリスとジョージは固く握手を交わして、富士の樹海へと向かった。

