「……僕に…行かせて下さい……!!」



「!?お前……ッ!?」


アイリスと須山が向けた視線は、ハイド准将の隣り……勇翔に向けられていた。だが、勇翔は今にも倒れそうに、壁に寄り掛かっている。須山は慌てて勇翔を抱き抱えた。



「お前、どうして……!?寝ていろと言っただろう……!!」


「す、すいません………今の話…本当なんですか……?」


「……聞いていたのか……駄目だ。こんな状態のお前を行かせる訳にはいかない!」



「……でも…」



「しっかり休むのも、戦士には必要だぞ、坂原勇翔君?」


「………でも…僕は……!!」


「………しょうがないわね…」



粘る勇翔に痺れを切らしたのか、アイリスが勇翔に近寄って、勇翔の額に人指し指を当てた。



「………な、にを……?」



「……ソフィア…お願い………」


アイリスがそう呟くと、指先から淡い緑色の光が放たれ、勇翔の体を包んだかと思った次の瞬間には、勇翔は静かに寝息を立てていた。



「……これで、当分は目を覚まさないでしょう……私が、医務室に運んできます」



アイリスはそう言って、勇翔を抱えて医務室に向かった。




「……噂には聞いていたが…便利なものだな……」




「……あれが、降霊せずに能力を行使出来るという……」



「あぁ……"無降霊行使"だ………」




二人はその背中を見送りながら、自分達と元帥の歴然とした力の差を感じていた………