「星詠みの郷にあるぞ」



その声に二人が振り向くと、ドアのところに男が寄り掛かっていた。


「ハイド准将……!?いつ、こちらに……?」


「先程な。部隊の指揮権をお前に譲る為に寄っただけだ。すぐに出て行くさ……アイリス元帥、光翔剣をお探しで?」



「私が、というより………」



「……あの少年か…」



「彼をご存じなのですか?」



「儂じゃなくとも、統合軍の者は皆知っとるわ……若い者の中には、英雄と見ている者もおるようじゃな」



「…英雄、か……確かに、そうかもな……」



「…血は争えんなぁ……彼の祖父もそうじゃった………」



「……勇翔の…祖父……ですか?」




「それは、つまり………剣帝の、父親…?」



「……智将、濱宮颯多郎…闘将と呼ばれた儂、と双璧と呼ばれておったわ……」



「…国連統合軍の双璧……闘将、ハイド・オーデルフィアと、智将、濱宮颯多郎……まさか、勇翔が智将の孫だったとは………」




「……彼は、斗耶の様にならなければ良いがなぁ………全く、家族を置いて行方をくらましおって……」



「……そうですね…」




「………はぁ……では、これを渡しておこう」


ハイドは懐から巻かれた紙を須山に渡した。

「……拝見します………」


紐を解いて、紙を広げると、そこには国連統合軍日本駐留軍の指揮権を須山に譲渡する旨が記されている。右下には、ハイドの署名もされていた。


須山は再び紙を丸めて懐にしまった。



「……承りました…」



「うむ。これが、指揮権の証明となる、バッヂだ」


ハイドは懐からケースに入ったバッヂを出して須山に渡した。