「クイーンオブハートが、この学園に…一体、誰なんだ?」


「……名を、富山晶という少女だ…富山元帥、貴方の娘だったはずだが…?」


ソルが放った言葉は、勇翔と学園長の心を大きく揺さぶった。


「晶が、クイーンオブハート……!?そんな、バカな……ッ!?」

「事実だ。その少女からは、確かにクイーンオブハートの波動を感じ取った。だが、今はまだその時ではない……」


「時だと……?」


「クイーンオブハートが目覚めるには、ハートの欠片……『十二使徒』の力が必要となる…」


「十二使徒……キリスト教の、イエスの弟子達のことか…?」


「そうだ…実際は、十二使徒の名を冠した十二の神器を差す隠語だ。その内の幾つかは、フォーラム公国公王家が所有していたはずだ。我々は、残りの神器を蒐集することも任務としていた……十二の神器全てを揃えて、儀式を行えば、クイーンオブハートは目覚め、大聖母マリアがこの世に降臨する……そして、この世から異物を全て打ち払い、この世を清浄な世界へと導くと言われている」



「清浄な世界……それは、つまり……」


「聖霊が、この世から姿を消すということなのか?」


「え……!?」



「………元々、聖霊とはこの世のものではない…全てを打ち払い、元ある姿へと戻すべきなのだ……そうは思わないかね、坂原勇翔君……?」


「…え……!?」


急に名前を呼ばれた勇翔は反応出来ずに固まってしまった。だがソルは返答を待たずに話を続けた。


「……我々は、この世界から聖霊、もしくはそれに関連するもの全てを元の世界に送り返すことを最終目標として活動している……」

ソルは三人を見渡した。皆、少なからず動揺している様だ。