勇翔も、凍牙王を抜こうとしたが、何か圧力の様な物に妨げられて中々抜けなかった。
「あ、あれ……?」
勇翔が凍牙王を抜くのに苦戦していると、勇翔達を囲んでいた男達が走り出した。
「あ、ちょ……ッ!?」
慌てた勇翔は限界近い力を振り絞って凍牙王を抜いた。
「ハアアァッ!!」
すると、抜き放たれた凍牙王から、剣筋をなぞる様に巨大な冷気の刃が放たれ、包囲の一角を直撃した。それを見た男達は、そそくさと剣を納めて姿を消した。
勇翔達は武器を納めてその有様を呆然と見ていた。
「……こんなに…凄い刀だったんだ……」
「……………寒い……………」
ドミニオンが肩を抱いて寒そうにしている。
凍牙王から放たれた巨大な冷気の刃は、包囲の一角を直撃し、その刃が巨大な氷柱と化して男達を氷付けにしてしまったのだ。氷柱の高さは、軽く5メートルから6メートルはあるかも知れない。
「……これは…使い時が難しいかも……」
「な、なんだこれは……?」
その声に振り返ると、戦闘の音を聞き付けて駆け付けた学園長と目が合った。
「勇翔君……?」
「学園長…」
「いつ戻って……いや、それよりも、これは一体……」
学園長は地面から不自然に生えた氷柱を見上げていた。
「……凍牙王を使ったら、こうなっちゃって………」
「凍牙王…?」
「レオンさんが持って来て下さったらしいんですけど、詳しいことは知らなくて……」
勇翔は学園長に凍牙王を見せた。
「刀なのか……何をどうすればあんなことに………そうだ、勇翔君は、訓練の為に本部にいるんじゃ無かったのかい?」
「僕は、この方々の案内を頼まれてて……」

