「……妖怪どもが…いつまでも大日の恩寵を享受出来るなどと思わないことだ………分かったなら、さっさと行け」


三人は再び街へと出かけて行った。


三人が居なくなった部屋に拾蔵と公王が訪ねて来た。


「ちょっと良いかの、緋凰……」


「構わんが、どうしかしたのか?」


「実は、公王殿のお連れの騎士団の方が、この事件の調査に協力してくれとるんじゃが……単独犯の方は分からんが、組織の方は心当たりがあるそうじゃ」


「……本当か……?」


「デュラハン……という組織を知っとるかの?」


「デュラハン………確か、ある目的の為にのみ動く秘密組織だったな………」


「その目的というのは?」



「……確か…『クイーンオブハート』の捜索と……『ハートの欠片』の収集……だったか。その二つが何かの暗号なのか、あるいはそういった神器なのか……なるほど、デュラハンに追われているのか……どうりで、手掛かりが少ない訳だ…」



「どういう意味じゃ?」


「デュラハンは、その目的故か非常に高度な捜査能力と追跡力を誇る組織だ。目を付けられた人間はまず逃げられない……更には、どこに隠れても必ず見つかる。そういう組織なんだ……」


「…なるほどのぉ……そんな組織から逃げ続ける単独犯もまた、タダ者ではないということかのぉ…ならば、そこに網を掛けさせて貰おうかのぉ……」



拾蔵は二人の不思議そうな視線を受けながらも、何か考え付いたのか、早足で部屋から出て行った。






「……おかしい…」


夜も更けた街中の路地裏に、フードを深く被った人影が佇んでいた。人影は左右を見回しながらその場から動こうとしない。