「颯風会でも、死傷者が出ている……私としても、早々に対策を打ちたいというのが、会内での総意だ」


「……ふむ……他の二人も、概ね状況は似たようなものかのぉ……さて、どうするか…」

「………さっきから、何の話をしているのですか?」


「そうか、公王殿はご存じ無いのか……今この国では、いわゆる連続通り魔が出没していてのぉ……被害も相当数に上っておる。その規模から、大規模な犯罪組織が絡んでいるというのが、警視庁の見解じゃが……我々は、少し違うてのぉ……」


「というと?」


「この犯人は、恐らく単独じゃ……それも、なにやら大規模な組織に追われている様じゃ…」


「……なぜ、そこまで分かるのですか?」



拾蔵は煙管を吸って煙を吐いてから次の言葉を続けた。



「…被害者の傷が、二通りあるからじゃよ」

「……二通り……」


「一つは、肩から腰にかけて一撃で切り付けられておる。左右の別はあれど、それは変わらぬ。これが、三分の二を占めておる。もう一つは、背中からみぞおちを一撃で貫いておる……これは、数こそ少ないが、全員死んでおる……故に、我々は、単独で行動している何者かが、大規模な組織から逃亡しながら犯行に及んだ……と考えておる」


「被害がここまで拡大したのは、その組織が単独犯を警察等の組織に捕らえられるのを恐れてのことだと推測しています。だから、偽の犯罪者を全国に散らばらせ、通り魔を装ったその手口によって、警視庁も思う様に捜査が進展していません」