「……観光か……それも良いか。しかし、誰に案内して貰おうか……」



公王が思案していると、アルバーヌが案を出した。


「……彼に案内して貰ってはいかがですか?」


「彼……?」


公王は最初は誰のことか分からなかったが、アルバーヌが医務室のドアを見ているのに気付いてすぐに誰のことを言っているのか分かった。


「………なるほど…それは良い考えだ。それじゃあ、また明日彼に頼んでみよう。彼の体調がよければ、だがね……さぁ、部屋に戻ろう」


公王は皆と一緒に用意された部屋に戻った。






「………お体は大丈夫ですか、勇翔様?」


「うん……まだちょっと体が重たい感じはするけど、大丈夫みたい……」


勇翔は眠った意識の中でバロンと青龍に会っていた。



「……しかし、驚いたぞ。急に雰囲気が変わって、刀の扱い方まで変わってしまっていたからな……」


「……そんなに、凄かったの?」



「あぁ……完全に刀を防御に回していたな。だが、あれはあれで理にかなった戦い方だったとも言えるがな」


「ですが、体に大いに負担のかかる戦いでもありました……霊力が暴走し、勇翔様のお体を操っていた……ランダ……まさかあいつが、勇翔様の中に封印されていたなんて………なぜ、気付かなかったのか……申し訳ありません……」


「き、気にしないでよ、バロン。封印されてたんだから、気付かないのも無理ないよ」


「……しかし、主の危機に何一つ気付けないなどと……これでは、契約した意味が無いではありませんか……!」

「…バロン……」