「援軍か……?」
男性が火球の飛来した方を見ると、何かがやって来るのが見えた。それは、一人の老人とそれを囲む四人の精霊達だった。
「パラケルスス……それに、精霊達まで…」
「ユリス元帥か。返して戴いた品、早速役に立った様だ。礼を言う」
「こちらこそ、助かった。なにせ、相手が相手だからな…」
「……そうだな……」
パラケルススはユリスと会話しつつも、一瞬たりともクロウリーから視線を逸らさなかった。
「…アレイスター・クロウリー……」
「……久しいな、パラケルスス……他の十賢は一緒に来なかったのか?」
「……お前ごとき、私一人で十分だと思ったのでな。お前こそ、暫く見ない間に老けたのではないか?」
「お前程では無かろう」
二人はまるで懐かしい友人同士の様に会話しているが、その目はお互いに完全に敵とになしている目をしている。
隙あらば、その身に一撃を叩き込もうとお互いに構えていた。
「……クロウリー、今は止めておくんだ。それより、彼を拾って撤収しよう」
「………しょうがないな……パラケルスス、今日はこれまでだ。懐かしい顔が見れただけでも良しとしよう」
クロウリーは攻撃に使うつもりだった霊力を組み直して、巨大な魔方陣を展開させた。その魔方陣は仮面の男とアイザックとクロウリーのみを纏めて転送しようとしていた。
「逃げるのか、クロウリー?」
「言葉には気をつけたまえ、パラケルスス。今は退くと言っているのだ。慌てなくとも、すぐに相手をすることになるだろう」
クロウリーはそう言い残して、他の二人と共に姿を消した。

