魔天戦史



「……この戦力を前に、逃げ切れると思っているのか?」


男性が言うが早いか、仮面の男をユリスとアルバーヌと崇史が囲む様に降り立った。



「………チッ……」


仮面の男は完全に包囲された。


「おとなしく、捕まって貰おうか…」


「そうはいかない」



「!?なんだ……ッ!?」

仮面の男を包囲する四人の上空に、謎の声と共に空間に亀裂が入った。その亀裂を破って出て来たのは、白いスーツに身を包んだ男と、タキシードにマントの男だった。



「……アイザックか……それに、お前は……」


ユリスの言葉に答える様に、マントの男が前に進み出た。


「お初にお目にかかる……我は、アレイスター・クロウリーという者だ。会えて光栄だ、統合軍の諸君、それに……」


自らをアレイスター・クロウリーと名乗った男は男性に目を向けた。


「……『光の主』よ……」


「アレイスター・クロウリー……十賢の一人か。近代西洋儀式魔法の祖と呼ばれ、本人もかなりの魔法の使い手だときくが…それに、アイザック・シリウス……君までこんな前線に出てくるとは、余程彼は君達にとって重要な人物の様だね?」


男性に呼び掛けられて、アイザックも前に進み出た。



「貴方こそ、わざわざ割って入って助ける程彼は重要な様だ……その彼に、まさかあの様な聖霊が封じられていようとは……相変わらず人命を軽んじるやり方だ…そうは思いませんか?」


「さて……私には分からんよ。それより、君達が出て来たということは、一戦交える気かい?」


「………あいにくと、そうは行かない様だ……」

アイザックは下にいる四人ではなく、遠くを見ている様だ。その視線の先から、一発の火球がクロウリーに直撃して爆発した。