「……この一撃だけで、この剣の特性を感じ取った様だ…本当に、恐ろしい程の才能だな…手加減、出来る相手ではない……か…」
男性は盾と剣を一緒に両手で構えた。その姿は、神に祈りを捧げる騎士そのものの姿に見えた。祈りを捧げる男性の回りに、霊力が集っていく。
「……来れ、マルコ大聖翼……!!」
男性がそう唱えると、男性の体を光が包み込み、その光を切り裂いて現われた男性の背中には、光の塊の様な羽根を散しながら羽ばたく光の翼が四枚生えていた。
「……さて、参ろうか……」
男性は翼を目一杯広げた。その翼の羽根という羽根から、光が雨の様に勇翔に降り注いだ。
「グッ、アァッ!?」
勇翔は雨の様に降り注ぐ光に耐えきれずに全身ボロボロになってしまった。
「ハァ……、ハァ……」
「もう良いかな……」
男性は剣を頭上に掲げた。翼から出た光がその剣を包み込む様に剣に注がれている。
光はやがて巨大な球体に形を変えた。
「大使徒ヨハネよ、主と父と聖霊の御名において、我に浄化の光を授け賜え……!!」
男性は剣を振って光球を勇翔に向けて放った。光の雨を食らったばかりの勇翔はかわしきれずに光球を正面から食らってしまった。
「グ、アァッ……ッ!」
勇翔は力無く倒れて落ちて行ってしまった。だが、勇翔を憲蔵がキャッチした。
「……これで良いか……さて、残るは君だな、仮面の男………」
男性は仮面の男に向き直った。
「……助けて貰ったことには感謝する。だが、むざむざ捕まる気も無いぞ……」
仮面の男は男性に剣を突き付けた。

