「憲蔵か、避難はどうした?」
「部下に任せた。それより、あれは……」
二人はビルの爆発した階を見ていた。その階だけ煙が立ち込めて良く見えなくなっていたが、時折炎が吹き出していた。するとその煙の中から、何かが飛び出して来た。
「そんな、馬鹿な……!?」
「………仮面の男……ッ!」
それは、全身煤だらけになった仮面の男だった。
「あいつがビルを爆破したのか……?」
「だが堂絃の姿が見当たらないが……」
ユリスが堂絃の姿を探している時、突然憲蔵が声を発した。
「……そうだ…勇翔がいない……」
「勇翔が……?何故彼が……」
「勇翔に堂絃を確保する様に言ったんだ。だから、あそこにはあいつがいるはずなんだが……」
その時仮面の男が謎の爆発を受けて吹き飛ばされた。
「今度はなんだ……?」
「待て、あれは…」
仮面の男を吹き飛ばした爆発の煙が晴れて、見通しが良くなると、そこには勇翔がいた。だが、勇翔は蒼天を握ってはいるが、その体には紅蓮の炎を纏っていた。それに一番違うのは………
「……あれは、勇翔か…?」
「……だが、この禍々しい殺気は……」
そう……普段の勇翔からは全く想像出来ない程に禍々しい殺気を放っているのだ。その殺気に、回りにいた勇翔に襲いかかろうと構えていた悪魔達すらも今は距離をとっている。
「……一体何が……」
「……ハッハッハッハッハッハッ!!」
二人が距離をとって見ていると、急に勇翔が堰を切ったかの様に笑い出した。それに合わせて勇翔を覆っている紅蓮の炎も勢いを増して吹き上がった。
「な、何なんだあれは……」

