倒れた堂絃を中心にして血溜りが床に広がった。


その堂絃の頬は涙で濡れているのが分かった。それを見た勇翔は膝からくずおれてしまった。



「………分からんな…なぜそこまで感情的になるのか……君は、戦士にはむいていない………自分を騙し続けるというのは不幸なことだ……」




仮面の男が剣に付いた血を拭いながら勇翔に近付いて来た。しかし勇翔は何故か一歩も動かない。そんな勇翔にバロンが声をかけた。


「勇翔様!!どうしたのですか!早くお逃げなさい!勇翔様!!」


しかし勇翔は何度呼ばれても答えるどころか動きすらしない。そうこうしている内に仮面の男が目の前に来た。


「……所詮、子供だったということか……残念だ…」


「………ろせ…………」



だが仮面の男は勇翔の微かな声を聞き取って剣を止めた。


「……何…?」


「…ろ……殺…せ……殺……」


「……なんだ……?」










「……殺せ………」






その時、勇翔の体から紅い霊気が立ち上ぼった。紅い霊気は天井まで届き、次第に色が濃くなっていった。



「これは…まさか………」



仮面の男が剣で勇翔に切り掛かろうとした瞬間、勇翔の体を紅蓮の炎が包み込んだ。


「ぐ、これは……!?」


仮面の男がたじろいでいると、勇翔を覆っていた炎が爆炎となって吹き荒れた。周囲の壁やガラスは全て吹き飛ばされた。仮面の男も例外では無かった。


突然の第二の爆発に悪魔の殲滅をしていた兵士達は目を見張った。元帥達もそうだった。

「こ、今度はなんだ……?」


「ユリス!!」



第二の爆発に唖然となるユリスの側に憲蔵がやって来た。