緋凰は倶利伽羅剣を片手に、両隣りに黒天、白夜を召喚した。





緋凰が見つめる先には、空を覆う程の悪魔の大群と、その先頭を走る紅い霊気を纏った男がいた。



「……あれは、久松堂絃か……」





緋凰は先頭の男に向かって飛んだ。





二人は上空で向き合う様に静止した。


先に切り出したのは緋凰だった。



「久松堂絃か………懐かしいな……」


「緋凰久尚……聖戦の英雄……また貴方とまみえるとはな………」


「お前が悪魔を率いているということは……そうか。[煌狼衆]もアイザックの軍門に降ったか………」



「全ては大義の為だ。今の貴方には関係無い………それよりも、今はこの戦いを楽しもうじゃないか………」



堂絃は両手に槍と剣を握った。



「………黒天、白夜…悪魔を殲滅しろ」



「「ハイ」」



黒天と白夜は指示を受け迅速に悪魔の群を追い立てていく。




その戦い方は、まるで羊の群とそれを追う猟犬の様だ。


「……黒天、白夜か……技の冴えは相変わらずか……それでこそ、戦いがいがあるというものだ……」




「お前も変わらんな……戦闘狂なのは相変わらずか…」


「戦闘狂とは心外だな……俺は、ただ強さを追い求めているだけだ………かつての貴方の様に、強くなりたい……ただそれだけだ。戦闘狂だというなら、統合軍のグレン元帥率いる第六師団こそ、戦闘狂の集まりではないのか?」



「………それもそうだな……さぁ、お喋りはここまでにしようか………」



「そうだな……さぁ、命の奪い合いを始めようじゃないか……」



「………残念だが、そうはならない……」