「は、はい!」
勇翔は言われてすぐに階段を探して登っていった。
「蓮、お前は悠里について行け。悠里、頼んだぞ」
「分かったわ。さぁ、行きましょうか、蓮ちゃん」
「はい…」
蓮と悠里は勇翔とは別の階段を登っていった。
「京介……お前は、俺が鍛えてやる。ついて来い」
「は、はい!」
二人は階段を使わずにエレベーターに乗った。
憲蔵は36階のボタンを押した。
エレベーターが静かに動き出した。
「………お父上…」
「なんだ?」
「俺は……強く、なれるのでしょうか……」
「………多くを望むは愚かなれど、望まざるもまた愚かなり………さて、誰の言葉だったか……京介、強くなりたいなら、自分で道を見つけろ。そして、自分で見つけた道を信じることだ」
「………はい………」
二人はそれきり、何一つ言葉を交わさなかった。
憲蔵と京介がエレベーターに乗っていた頃、蓮と悠里は7階のトレーニングルームにいた。
広い室内で、二人が間もを開けて向かい合っている。
「……さぁ、始めましょうか蓮ちゃん……訓練とは言え、手加減はしないわよ……?」
「………お願いします……」
二人は同時に降霊した。
悠里は千手観音を、蓮はアマテラスだ。
部屋の天井近くで二人の霊気がぶつかり合っている。
「……武器は使わないのですか……?」
「そうねぇ……蓮ちゃんこそ良いの?」
蓮はこの若干ユルい女性に刃を向けるのに気が引けたが、やはり天叢雲剣を抜いた。
それは、既に真打の形をとっていた。

