魔天戦史

｢…貴女で、八人目です…真打を会得なされた方は…｣

蓮の手には、何回も直角に折れ曲がった鍵状の剣が握られていた。
｢これが、真打…凄い霊気を感じます…｣

蓮は新たな力に気おされている。

｢それこそ、天叢雲剣の真の姿…真打です。その身に纏う浄化の火は、全ての罪を洗い流し、全ての悪を断罪する…正に最強の霊剣の部類に入る神器と言えるでしょう。｣

そう言ってアマテラスは剣を構えた。しかし、その剣も真打に変わっていた。

｢…行きます!｣

アマテラスの姿が消えた。

｢…右…いや、左!｣

蓮のその考えは正しかった。蓮が剣を構えたその先に、アマテラスが姿を現した。二人は互いの剣を打ち付け合った。その衝撃で辺りの地面にひび割れが走った。二人は互いに距離を開けた。

｢はあぁっ…!｣

蓮は顔の前に構えた剣に霊力を注いだ。すると剣の刃の両側に霊力の塊が三個ずつ現われた。

｢はぁっ！｣

蓮は剣を振った。振った剣から霊力の塊がアマテラス目掛けて放たれた。

｢く…ッ!？｣

アマテラスはそれを飛んでかわした。しかしその背後には、蓮が先回りしていた。

｢!？｣

｢はあぁっ！｣

蓮は剣に目一杯の霊力を注いだ。そして剣をアマテラスに打ち付けた。その衝撃で爆煙が上がった。アマテラスはその爆煙の中から吹き飛ばされて地面に思いっ切り叩き付けられた。アマテラスは立つことが出来なかった。
｢…ぐ…ッ…!？｣

そこに蓮が降りて来た。

｢…ッ、はぁ…はぁ…力を、使い過ぎたようです…｣

蓮も片膝を着いている。さっきの一撃にかなりの霊力を注いだ様だ。

｢…いえ、私の負けです…真打が、貴女の助けとなることを…｣

アマテラスはそう言い残して蓮の真打に光となって吸い込まれた。そしてそれまでいた景色が崩れ去った。蓮は元の世界に戻った。