魔天戦史

「はあぁっ…!!」

するとグングニルが京介の回りを包みこむ様に展開された。その姿はまるで巨大な槍の様だ。

「!突撃か…良かろう、受けて立つ!!」

拾蔵は刀を顔の横に構えた。拾蔵の体の全身から紅い霊気が溢れている。

「…行くぞッ!!」

京介はスレイプニルを走らせた。

「秘剣…紅龍煉閃撃(こうりゅうれんせんげき)!!」

拾蔵は刀を突き出した。その剣先から拾蔵の体よりも大きい炎の柱が京介に向けて放たれた。大量のグングニルに包まれた京介と巨大な炎の柱が激突した。
「くッおぉぉっ!!」

炎の柱とぶつかってグングニルはどんどん焼かれていく。しかし京介は新たにグングニルを増やして対抗した。
「…火力が足りぬか…ぬおぉッ!!」

拾蔵は更に大量の霊力を刀に注いだ。炎の柱が更に激しく燃え上がった。

「ぐ、おぉぉっ…!!」

京介もグングニルを更に増殖させて対抗するが、徐々にグングニルの増殖が間に合わなくなって来た。

「く、くそ…ッ!!」

その時、ついに耐え切れなくなったのか、衝突した霊力が爆発した。

「はぁ…はぁ…やはりこの技はキツいのぉ…体が悲鳴を上げとるわい…」

拾蔵は構えを解いて体をほぐした。しかしその背後に気配を感じた。

「!?」

それは、京介だった。
「はぁっ!!」

京介はグングニルを突き出した。その穂先は拾蔵のみぞおちを貫いた。

「ぐ、は…ッ!?」

拾蔵は血を吐いて倒れた。京介はスレイプニルから降りた。

「はぁ…はぁ…ッ、お祖父様…」

京介は体の至るところに火傷があった。

「…ふ、そんな顔をするでない。勝った者がそんな顔でどうするのじゃ。」

そういう拾蔵もかなり苦しそうだ。

「…しかし…」

「…仕方ない奴じゃ…心配するな。儂は死んだりせんよ。」