「結天領域!!」

拾蔵は刀をかざして霊力を放出した。すると京介と拾蔵は中庭から全く別の場所に飛ばされた。

「これは…!?」

「結天領域という魔術じゃ。空間を霊力で歪め、そこに新たな空間を構築する。無属性最高峰の魔術じゃよ。ここなら、儂が死ぬまで戦うことが可能じゃ…さて、始めるかのぉ…準備は良いか?」

京介は槍を構えた。

「…はい!」

「…良い返事じゃ…行くぞ!」

すると拾蔵の姿が消えた。

「!?ど、どこに…」

「こっちじゃ!」

辺りを見回す京介の遥か上空から拾蔵の声が鳴り響いた。

京介は槍を振り上げた。すると丁度降りて来た拾蔵の胸に槍が突き刺さった。

「!?手応えが無い…!?」

その感触に違和感を覚えた次の瞬間、拾蔵の体が砂の様に崩れ去った。それに驚く京介を背後からの一撃が吹き飛ばした。

「ぐ、あ…ッ!?」

京介は吹き飛ばされながら姿勢を整えて着地した。京介を吹き飛ばしたのはやはり拾蔵だった。

「安心せい、みね打ちじゃ。しかし、まさか本気で槍を突き刺すとはのぉ。」

「…すいません…(冗談じゃない…本気じゃ無かったらこっちが殺されそうじゃないか…流石は、炎皇…)」

京介が内心で呟いていると拾蔵が刀で自分の足元を突き刺した。

「!?何だ…何が来る…!」

京介が槍を構えた途端に、京介の左足の地面が地割れを起こした。
「なっ…!?」

地割れの跡を辿ると、どうやら拾蔵が刀で地面を切り裂いたようだ。京介が足場を失って体勢を崩していると、拾蔵が一気に地面を蹴って突進して来た。

「くッ…!?」

京介は咄嗟に槍を前に突き出した。しかし拾蔵はその槍を刀で払いのけて左の拳を握り締めた。

「閃煌拳(せんこうけん)!!」

拾蔵の左の拳に濃密な霊気が凝縮され、拾蔵はその拳を京介の体に叩き込んだ。

「ぐッ、あ…ッ!!」