「…そうだったのか…」
京介はそう呟いてうつむいた。

「…さて、儂もやるかのぉ。」

拾蔵はそう言いながら立ち上がった。

「…?何を…」

「お前にも、力を与えてやろう。」

「…はい!」

二人は部屋を出て中庭に出た。

「京介、グングニルを構えろ。」

「はい!」

京介は言われた通りにグングニルを構えた。拾蔵も村雨を鞘から払った。

「…お祖父様…何を…」
「今のままでは、お主はグングニルの真の力は引き出せん。」

「真の、力…?」

「グングニルは、本来はどこに投げても主の元に戻ってくる魔槍じゃ。しかしお主はまだただの霊力の高い槍としか認識しておらん。それを、戦いの中で引き出すのじゃ。」

拾蔵はそう言いながら刀を構えた。

「安心せい。聖霊は使わん。」

「…分かりました。」






その頃弦慈郎は黒服の男に案内されて蓮の部屋に向かっていた。

「こちらです。」

黒服の男はある部屋の前で止まった。

「ありがとう。」

「では…」

黒服の男は弦慈郎を残して去って行った。弦慈郎は襖を開けた。中には蓮が座っていた。
「…お祖父様!?何故ここに…!?」

「お前に、教えることがあってな。」

「…私に、ですか?」

「あぁ…」

弦慈郎は襖を閉めて蓮が出した座布団に腰を下ろした。

「…天叢雲剣のことでなんだが…」

「天叢雲剣ですか?」

「あぁ。今出せるか?」
「お待ち下さい…」

蓮は首から下げていた勾玉を握って霊力を注いだ。すると勾玉は強い光を放って形を剣の姿に変えた。

「…貸してみろ。」

蓮は天叢雲剣を弦慈郎に渡した。弦慈郎は受け取った天叢雲剣に更に強い霊力を注いだ。するとさっきよりも更に強い光を放って形を変えた。