翌朝、朝食を済ませた京介は一人拾蔵の部屋にやって来た。

「…さて、力の使い方を教えると言ったが…何から教えようかのぉ…」

拾蔵が呟いていると京介が先に話し出した。
「…勇翔は…なぜ、あれ程の力を手に出来たのでしょうか…」

「…彼は、蒼天を抜いた時にこう言ったそうじゃ…『大切な誰かを守れるのなら、悪魔に魂を売ってもいい』…とな。」

「!?」

その言葉に京介は衝撃を受けた。

「…果たして、お主にそこまでの覚悟はあるかのぉ…?」

京介は返す言葉が無かった。

「…まぁ、そこまでする必要も無いがのぉ…しかし今のままでは、永遠に勇翔には届かないじゃろうなぁ…」

「…どうすれば、いいんですか?」

「…まぁ、お主には話しておいてやろうかのぉ…」

拾蔵は立ち上がって机の引き出しからキセルを取り出して火を付けた。煙を吐きながら拾蔵は話し出した。

「…『王印』についてじゃよ…」

「王印…?」

京介はその単語に全く聞き覚えが無かった。
「お主は、聖霊の階級のことはどの程度知っておるかのぉ?」

「最高Sから最下位のDランクの六段階だとは、知っていますが…後は、特Aランクの存在ぐらいしか…」

「ふむ…まぁ、一般のプレイヤーと大差無いのぉ…まぁ、話はそのSランクの話に限定されるのじゃが…Sランクの聖霊が、最高ランクじゃと言ったのぉ、京介。」

「そうでは無いのですか?」

「…実はのぉ…Sランクの中でもさらに上位の聖霊には、『王印』という固有の特殊能力が備わっておるのじゃ。」

「…王印…」

「現在確認されているのは、雷、水、魔、炎、光、剣の六つじゃ。雷はゼウス、水は青龍、魔はソロモン、炎はスルト、光はルシファー、そして剣はアーサーじゃ。」