「ぐ、はッ…!?」

男は床に倒れた。床に血溜まりが出来た。血は全く止まる気配が無い。男は虚ろな目で勇翔を見た。

「…何故だ…何故、君の様な子供が…こんな力を…この、悪魔め…!!」

男はかすれた声でそう言って息絶えた。

「はぁ、はぁ…くッ…!?」

勇翔は一気に力が抜けて倒れた。しかし床に倒れる前にレオンが受け止めた。

「…緋凰様、今のは…」
「あぁ。間違い無い…『魔人化』だ…」

「何故、勇翔が…」

「…今は、師紀邸に戻ろう。このことは、本部にも知らせた方が良かろう。」

「…了解しました。」

レオンは勇翔を抱えて部屋を出た。

「…あぁ、私だ。研究所は奪還した。部隊を派遣してくれ。」

緋凰は取り出した携帯でどこかにかけた。

「私達も行くぞ。」

「はい。」

クロームと緋凰は先に出たレオンの後を追って研究所を出た。三人はまだ焼け跡が残る研究所を後に、師紀邸へと帰還した。研究所は、後に本部から派遣された部隊によって完全に制圧され、研究所は再び国連統合軍の管理下に入ることになった。






「…そうか、勇翔がのぉ…」

「あぁ。あれは間違い無く魔人化だった。何故勇翔が魔人化出来たかは知らんが、かなり強力な力であることは疑い様が無い。それに、蒼天も何か関係がありそうだ。」

「そうか…」

師紀邸に戻って来た三人は勇翔を部屋に寝かせて拾蔵の部屋に集まっていた。

「それと、勇翔は居合いの心得でもあるのか?」

「いや、儂は知らぬが…恐らく斗耶にでも仕込まれたのじゃろう…それがどうしたのじゃ?」

「いや、見事な太刀筋だったものでな。」

「まぁ、蒼天の補正もあるじゃろうが、勇翔の潜在能力はずば抜けておる。もしかすると、父をも超えるかも知れんのぉ…」