「…どうして八洲さんだけ残したんですか!!」

勇翔は今にもレオンに殴りかかりそうな勢いで言った。しかしレオンは全く動じない。

「…君は、あの方の力を見くびり過ぎだ。あの程度にやられる程、八洲さんは弱くない。」

「…でも…!?」

「それに、何も一人では無い。」

「…そういえば、さっき援軍が来るって…」
「あぁ。これ程の数だ。元帥の誰か…恐らく、霊帝が参られるはずだ…一応こちらから思念を飛ばしているから、すぐに参られるだろう。」

「…霊帝…まさか、四帝のお一人の…」

「そうだ。元帥最高の霊力の質と密度と放出量を誇る最強の元帥、四帝のお一人だ。」

「…八洲さん…」

レオンの言葉を聞いてもまだ勇翔は不安そうだ。

「…はぁ…どの道私達はあの場所には戻れない。だから、今は師紀邸に戻るしかないんだ。」

「…ッ…分かりました…あ、この娘は…」

勇翔は弥佳に目を向けた。

「…ふぇ?」

「…連れて行こう。」

「…そうですね。行こう、弥佳ちゃん。」

「うん。」

三人は一緒に師紀邸に向かった。







「…ぐ…ッ、まずったな…」

八洲は剣を支えにして何とか立っていた。しかし敵はまだ数十体は残って八洲に紅い両目を向けている。

「くッ…!?」

八洲の膝が崩れた。するとそれを狙っていたかの様に一体の悪魔が襲って来た。

「…ちッ…」

悪魔はその巨大な拳で殴りかかった。その時、巨大な悪魔の更に上空から一筋の光が放たれた。その光は八洲に殴りかかった悪魔を一撃で撃ち抜いた。撃ち抜かれた悪魔は光の粒子に分解されて消えて行った。

「これは…」

八洲が光が放たれた方を見た。その時、上から誰かが八洲の後ろに降り立った。

「…貴方は…!?」

「…久しいな、八洲よ。だが…お前ともあろう者がこの程度にてこずるとは…鍛練が足りん様だな。」