中から返ってきた声は力強い男の声だった。
「失礼します。」

レオンがドアを開けた。

「し、失礼します。」

勇翔もその後に部屋に入ってドアを閉めた。中は両脇に本棚があり、棚にはファイルが並んでいる。その間に窓を背にして机とソファ―があり、机に一人の男が座っていた。男は短い黒髪に鋭い眼光、服は警官の制服を着ている。

「…警察では無いな。何のご用かな?」

「私は、国連統合軍中央指令室大元帥直轄特務隊隊長、レオン・イェーガーです。」

レオンはそう言いながらさっきの手帳とは違うデザインの手帳を見せた。

「…確かに…私は、警視庁特殊犯罪対策課課長の八洲忠之(やしまただゆき)です。お会いできて光栄だ。」

「こちらこそ。」

二人は固く握手した。すると男の目線が勇翔に移った。

「そこの彼は…」

「あ、はい!坂原勇翔です!」

そういう勇翔にレオンが呆れ顔を向けた。

「…もう軍人として扱って良いのでは無かったかな?」

「あ…は、はい。国連統合軍第一師団所属、坂原勇翔です。階級は上等兵です。」

「そうか。まぁ、座りなさい。」

二人は言われるままソファ―に座った。するとすぐに女性がお茶を運んで来た。

「…それで、噂に聞くジャッジメントの特務隊長殿が、一体何のご用ですかな?」

「…富士山直下にある極焔の宝珠が、何者かに狙われています。私は大元帥の特命を受けてその極焔の宝珠の確保のために参りました。」

「…大元帥の特命ですか…ならば仕方ありませんな。本来ならば立ち入り禁止なのですが、まぁ仕方ないでしょう。」

「ありがとうございます。ついては、そちらから何人か人員をお出しいただきたいのですが…」

「それは…難しいですな…ご存じでしょうが、我が課は設立されたばかりでして、あまり割ける人員がいないものですから…」