魔天戦史

「え、警視庁…ですか?」

「霊峰とまで呼ばれる富士山に無断で入る訳にもいかないからな。それに戦力も欲しい。だから行くんだ。」

「そうですか。」

「分かった様だな。なら行こう。」

「え、でもどうやって…」

「私が車を運転する。」
「運転、お得意なんですか?」

「人並みだ。全ての乗り物の訓練は済んでるからな。」

「そうなんですか。」

二人は玄関に向かった。玄関を出ると既に車が一台止まっていた。レオンはさっさと運転席に乗り込んだ。勇翔も助手席に座った。そこに拾蔵がやって来た。

「まぁ、君なら大丈夫だと思うが、気をつけるんじゃぞ。」

「ありがとうございます。では、行って参ります。」

レオンは車を発車させた。レオンは意外な程に運転はうまかった。





「…着いたぞ。」

レオンはそう言って車を駐車場に止めて車から降りた。勇翔もシートベルトを外して降りた。

「警視庁…実際に来るのは初めてです…」

二人は自動ドアをくぐった。

「ここで待っててくれ。話しを付けてくる。」

レオンは勇翔を置いて受付に行った。最初は鈍かった受付もレオンが手帳の様なものを見せると直ぐに態度を変えた。レオンが戻って来た。

「話しはついた。行くぞ。」

「あ、はい。さっきは、何を見せてたんですか?」

「ん?あぁ、これか。」
レオンは胸元からさっきの手帳を出した。

「これは、まぁ、身分証みたいなものだ。特務隊長が表立って動く訳には行かないからな。普通は国連統合軍大佐という肩書きで行動している。」

「そうなんですか。」

そうこうしているとレオンがある部屋の前で止まった。

「…特殊犯罪対策課、課長室…ここだな。」
レオンは扉をノックした。

「入りたまえ。」