ここからはちょっと三年前の話
22歳大学生最後の冬のこと

「どうした?」

僕、木下秀介は高校の同窓会の明るい場で
ただ一人うつむくキミに話しかけた

「あっ、キノか、うんん、なんでもないよ。
てか、久しぶりだね、元気にしてた?」

無理に笑って何かをごまかそうとして
話したキミ、一途名光、僕が六年間心を寄せてる女性

彼女はこの時は僕の事を苗字から
とって『キノ』と呼ぶ


「俺は元気でも、一途名は元気じゃないだろう」


こんな事いう僕は女心が分かってないんだろうか


「元気だもん」

キミは僕の顔をはっとした表情で一瞬みて
またうつむいていう

僕はすると無意識のうちに
そんなキミの手首を掴み

「じゃあ、なんでうつむくんだ」