この声が枯れるまで

「俺、長尾に会うまでは……自信がなかったんだ。」


「え?」


「自分の音楽がこれでいいのか。こんなへったくそな演奏誰かに聞かれたら恥ずかしくて死んでしまう。そう思ってた。」


「うん。」


「でも、それを変えてくれたのが、長尾なんだよ。」



「--!」


「毎日ベランダに俺の音楽を聞きにきてくれたんだ。女の子なら友達と一緒にいないとハブかれるーとか悪口いわれてそうとかあるだろ?いっつも男子と一緒にいるなんて男好きかよ?とか。色々言われてるかもしれない。でも長尾は毎日友達と体育館で遊んだり教室でお絵かきしないで、俺の音楽を聞きにきてくれたんだ。」




「…。」



「いっつも笑って聞いてくれた。ニコニコして。それが俺の自信になったんだ。だから今日ももし、長尾に俺の音楽を聞いてもらってなかったら、ステージになんか立ってられなかっただろうね。でもそれを長尾は変えたんだ。誇りにおもってる。そして、惚れたんだ。」






「……。」




八木はコクンとうなずき、俺の頬にキスをした。




「最後にする。」



「!」



「唇には本当に好きな人としかキスしちゃ駄目だよ。」



「八木。」



「ありがとな。」



「うん。こっちこそ。ありがとう。」