この声が枯れるまで

サクサクサク………。


これは、八木がポップコーンを食べてる音。


カシャカシャカシャ……。


これは浩二が学校用のカメラで観覧車を撮っている音。


パラパラパラパラ……。


これは長尾が遊園地のパンフレットのページをめくる音。


そして………。



ドキドキドキドキドキ………。


これが俺の今の気持ち、というか音。そう、俺の鼓動の音だ。



さっきから、同じテンポでずっとなっている。ドキドキと。長尾は、そんな事知らないだろうな。いや、知ってもらっても困る。だって、もし知られたら、もうあの時のように、学校のベランダでギター弾いてあげるのさえも緊張してしまう。俺が長尾のことを「好き」というのが長尾にしられたら、逆に接しづらくなりそうで……怖い。


そして、おなじクラスのやつらに、冷やかされるのも、なんかヤダ。それは、俺だけじゃなくて、きっと長尾もいやだろう?


でも、修学旅行中に必ず浩二は長尾に告白するだろう。それを黙ってみてろっていうのもつらい。だからといって、自分から告白しろと言われるのもつらい。俺って本当にダメな奴だと実感する。



目の前に見える、長尾と浩二の2ショット。



みるからに仲がいいという感じだ。



俺は、見てるだけで精一杯なのかよ。



自分が情けなくて、嫌になる。ぎゅっと握った拳のように、強い心をもてたらいいのに。この思いのように、誰にも負けない勇気があればいいのに。



『ライバルな』





そらから聞こえてくる、兄ちゃんの声。



「----っくそ!!」



俺の心の何かが起動した。何かが、メラメラ燃えてくる。



たぶん、一言でいうなら……「やる気」だ。