闇蛇はどーあっても真珠を潰したい理由があんのか。
単なる出会い頭なら、こないだ貴虎に邪魔された一件で終わるはずだ。
コレで二度目だ。
襲われたのは偶然なんかじゃない。
『ともかく俺達も直ぐ向かう。月夜はもうそろそろ着くはずだから、それまで―――』
「待てねーよ。」
それだけ言って電話を切った俺は、目の前に見えたビルに向かってアクセルを全開にした。
ビル前で屯っていたヤンキー共が、突っ込んできたバイクにぎょっと目を見張り、反射的に飛び退く。
――――ガシャン!!
派手な音を上げて、薄汚れたガラス扉が砕けた。
ぎゃぎゃぎゃ、と後輪を滑らせてバイクを停止させる。
暗い一階フロアは、処分もメンドーで置き去りにされた事務机や棚が放置されているだけで静まり返っていた。
「・・・・ホントにここかよ?」
外にいたヤツ等が入り口から覗きこんでいた。
そこに、誰かに連絡を付けている野郎の姿を見て確信する。
単に入り口で屯っている風を装った『見張り』とは用意周到じゃねーか。
ビンゴ。


