虫はそれほど苦手じゃないが、ヤツだけはどーしても苦手だった。
それでも普段ガキ大将面してたワケで、細心の注意を払って隠し通して、誰も知らない筈なのに・・・
でも美代のセリフで、入いっていた物がミミズでもゴキでもセミでもなかったコトを知った。
偶然なんかじゃねぇんだ。
俺が最も苦手だと知って、そして意図的にそこに入れられたのだ。
あの後、時を置いて、美代は言ったものだ。
静かに笑って。
『これでもまだはったりだと思う?思うなら言っていいわよ?
『どうせハッタリだろ?やれるもんならやってみな』って。
食欲、睡眠欲、性欲―――人間の三大欲。
次は眠れない日々を体験してみるのはいかが?』
全部壊れたら―――廃人ね
楽しそうに歌うように、言った魔女。
静かな微笑に、怒りも、ボッキリ折れた。


