後ろをチラ見して、そっと溜息を吐く。 溜まり場には、程良く人が集まっていて、奇異の視線を集めているというのに女は然して怯える様子もない。 図太いのか、危機感に乏しいのか。 「はいよ。服と、ついでにタオルっす。」 「アリガトウ。」 後輩の持ってきた衣類を受け取り歩き出し、思いだしたように振り返った。 「もしも私の迎えが来たら、素直に通してくれるかしら。」 この状況で頼みごととは図太いな。 後輩もそう思ったようで少しきょとんとした顔で「あぁ、はい」と寝ぼけた返事だ。