初、教師陣を憂う



「呼び出された内容はわかるかい?」

佐倉と同じ側のソファーへと座らせ、初は話を切り出した。

「……予想が外れることを願います」

「まだ外へ出ることに抵抗が?」

少しためらいながら

「ええ」

御衣黄は言葉を紡ぐ。

「でもね、いつかは外へ出なくてはいけない。わかっているだろう」

彼は聡かった。
生まれたときには自分がどういうものなのかわかっていた。
化身が男だった、唯それだけなのか、そうでないのか。
誰にもわからない問いに苦しんでいる。
だから極力さくらの園の外へ出ないようにしてきた。
けれど、それではいけない。

「学園の様子はどうだった?」

「はい?」

きょとんと御衣黄は首を傾げる。
話が見えないらしい。

「生徒や教師。見慣れないものも多いだろう」

「そう、ですね。変わらないものもいますけど。……外に出たのは100年ぶりくらいですから人間は入れ替わっていました」

少し困ったように彼は笑った。